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公演「墨香―검은향」 鑑賞レポート その①

安寧ハセヨ。

アラフォーなのに、まだまだピョンアリのhyangです。

4月15日、16日に趙寿玉先生のリサイタル「墨香―검은향」が南青山・銕仙会能楽堂で行われました。
当日の様子や感想について書かせていただきます。

能楽堂は文字通り能のために作られた舞台で、60年以上もの歴史があります。
その伝統深き舞台と韓国の舞踊、音楽は、想像以上に親和性の高いものでした。

会場の入り口
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舞台袖から見た会場
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公演の演目はどれも素晴らしいものでしたが、私が特に印象深く残ったのは「教坊クッコリ」でした。

教坊クッコリは解説書の言葉を借りると「風景画のような舞」で、鮮黄色のチョゴリに紅色のコルム、紺のチマの衣装が特徴です。
この演目の最中、恥ずかしながらあふれる涙が止まらず、終了後、ふと横に座っていた方を見るとやはり頬に光るものが見えました。

悲哀を凝縮させて切々と踊るサルプリが「冬」、自然界の地の底からわきあがるようなパワーを感じさせる僧舞が「秋」だとするならば、教坊クッコリはほがらかな「春」のような踊りです。

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なので序盤から心臓をぐっとわしづかみにされるサルプリや僧舞とはちがって、どちらかというとゆったりとした気持ちで見ることのできる踊りだと思います。
特に早いテンポのチャジンモリに合わせ、小鼓を手に踊るエピローグは、興が乗じ心躍らされる構成となっています。
にもかかわらず思わず涙したのは、その優雅な空気が徐々に見る者の心を包んでいき、そうして感じられるぬくもりが、身体の真中(みなか)をも温め、緩ませたからだと思いました。

公演を観にいらしていたある伝統楽器の演奏家の方は終演後に「昔の風景が浮かんで何とも懐かしい気持ちになり、涙が止まりませんでした」と感想を述べられていました。


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晋州に伝わる「剣舞」はチャングと口音(スキャット)というシンプルな伴奏に合わせて踊ります。
力強くありながら気品のあふれる舞に、知らず知らずにこちらの背筋がすーっと伸びていくのが感じられました。
剣を手にして舞う後半部分では、踊り手の視線の向こう側に壬辰倭乱(文禄・慶長の役)の海原が広がっているような、そんな気にさえなりました。

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公演のクライマックスを飾ったのは、趙寿玉先生の十八番(おはこ)の一つと言えるサルプリ。特に踊りの終盤は、究極の興が乗じた踊り手と演奏陣の掛け合いが、「舞と音楽」を越え、例えるなら「八百万の神々の語らい」のようで、舞台はさながら神殿と化していました。

抑制に抑制を重ねた舞から、じわりじわりとそして重く染み出てくる躍動に会場の空気の濃度は高まるばかりでした。

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今回の公演では人間国宝の金清満(キム・チョンマン)先生を筆頭に、韓国現地の伝統音楽家が来日出演しました。
特に韓国の国楽界の次世代を担う若手のホープの演奏家が多く出演しました。

初日に独奏を披露したのは、テグム奏者で国立国楽院の首席団員の元完哲(ウォン・ワンチョル)先生。
息吹が混じるテグム特有の切ない音色を奏でながらも、力強い男性的な迫力があり、勢いがみなぎる演奏でした。

京畿民謡履修者である金ボラ先生が披露した「正歌」は、日本でも知られてる韓国民謡やパンソリとはジャンルが異なる唱で注目されました。
その歌声は透明感がありながらも太い芯があり、まるで空からシャワーのように降ってくる星屑を浴びているような気分になりました。
心が浄化される「天上の歌声」に、会場からため息がもれました。

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そして日本でもファンの多い、金清満先生がチャングから弾き出すチャンダンは聴く者の内臓に地響きを起こし、そして一つ一つの音が意味深長で貴く感じられました。

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ピリとヘグムの演奏 チャングは人間国宝の金清満先生

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民族音楽院の楽長であられる柳印相先生


生徒たちが出演した「鶴舞」、そして「ミンサルプリ」は各々が重ねてきた年輪を感じさせる、温かい演目となりました。

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趙寿玉先生、演奏家の方々、そしてスタッフのみなさま、本当にお疲れさまでした。

(※ 写真はリハーサル時のものなので、演奏陣の方は衣装をつけていらっしゃいません)


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コメント

初日はスタンディングオベーションでしたものね。驚きました。

投稿: | 2016年4月24日 (日) 07時09分

コメントありがとうございます。私は二日目の演目を重点的に書きましたが、初日に関してはまた別の者が鑑賞レポートをアップする予定です

投稿: hyang | 2016年4月27日 (水) 13時02分

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